最近のFP1級実技(面接)試験の傾向として、親族外事業承継が増えて来ました。
また前回では数年振りに医療の事業承継が出題されています。
この記事は上記2つについての解説/ワンポイント記事です。
出題された場合に合格点(最低ライン)を確保する為の「単語・単文」をまとめていますので、口頭で簡潔に説明出来るように、ご自身で内容を確認して発声練習をしておいてください。
Contents
親族外事業承継
2021年10月3日PARTⅠが典型的な問題でした。
親族内に後継者がいなくて、同族関係者でない取締役技術部長のEさんに承継させる手順を問う問題です。
相談内容と問題点
承継で最初に確認したいのは、オーナーが持株を「譲渡するのか、贈与するのか」ですが、親族外事業承継なので「譲渡したい」という前提での回答で良いと考えます。
お決まりの4つの問題点と設問用の答えを最初に回答します。
・事業承継をどうするか
・相続税の圧縮
・相続税の納税資金の準備
・円満な相続
・経営者保証
最初の回答からツッコミがあるかも知れませんがお落ち着いて対応してください。
提案・方策
・親族外事業承継
→MBO、EBO、M&A(Eさんが断ったら)
→経営者保証を金融機関と相談(ファンド活用もあり)
・小宅特例の活用
・生命保険の活用
・役員退職金の活用
・遺言書の作成
・オーナーの土地を法人が買い取る
5つ以上回答しましょう。
不足があれば審査委員が「もっとありませんか?」とツッコミます。
(贈与の場合は事業承継税制を検討しても良いですが、3代目(承継者の承継者)のめどが立っていないと、一般的には「使いづらい」です。将来のM&Aでの売却も厳しくなります。)
何を顧客に提案するか
自分で組み立てた提案を簡潔に述べて下さい。
審査委員が聞きたい提案でない場合は、「○○についてはどうですか?」(翻訳すると「そこじゃなくてここだよ」と言われるので、指摘された○○についての提案を回答します。
基本的に、審査委員は圧迫型であっても「味方」と考えるべきです。
それと、設問に出てくる金融機関やコンサルは「悪者」の場合が多いので、必ず競合させる提案にしてくださいね。
医療の事業承継
2021年10月9日Part1は数年ぶりのクリニック(個人事業)の承継が出題されました。
今後定番化になる可能性が高いので以下の点だけは最低押さえて、簡潔に口頭説明できる訓練をしてください。
個人事業か医療法人か
前回の問題は「個人事業」でしたが、次回以降は「持分ありの医療法人」の可能性もあると考えてます。
個人事業の場合は、「持分なしの医療法人」への法人成りが課題となり、「持分ありの医療法人」の場合は、「持分なしの医療法人」への移行が課題となります。
※現在は「持分ありの医療法人」への法人成りは出来ません。
持分なしor持分あり医療法人の違い
持分ありの医療法人は出資者が出資額に応じた「退社時の法人資産の払い戻し」、「法人解散時に残余財産の分配を受ける」ことが出来ます。
医療法人は非営利法人で配当が禁止されているので、法人資産が多額になっていることが多く、出資者の相続人は多額の相続税の発生し、納税資金の為に多額の出資金の払い戻しが請求されて、医療人の継続が困難になる場合もあります。
持分なしの医療法人は払戻請求権・残余財産請求権がありません(一部条件付き)。
出資者の相続、退社があっても、法人資産が流出することがないのです。
なぜそうなるかというと、「持分なし医療人」は出資者全員が「出資した財産を放棄」しているからです。
財産を放棄した見返りとして、相続税や贈与税が課せられなくなると理解してください。
持分なしの医療法人移行に関する優遇税制
認定医療法人制度は令和5年9月まで延長されている優遇税制です。
移行計画の期間満了までに、持分あり医療法人の出資者と相続人の全員が「全ての持分を放棄」して、持分なし医療法人に移行すると、贈与を受けた側の「持分なし医療法人」側の贈与税も法人税も課税されないというものです。
認定要件は以下を言えるよに
・社員総会の議決があること
・移行計画が有効かつ適正であること
・移行計画期間が3年以内であること
・運営の適正生要件を満たしていること
・適性要件→法人関係者に利益供与しない、役員報酬について不当に高額にならないよう定めている、社会保険診療に係る収入が全体の80%超
・持分なし医療法人への移行後6年間、認定要件を満たしていると医療法人に対する贈与税は非課税
・持分なし医療法人が解散する場合、残余財産は国等に帰属します
承継方針の検討
・持分あり医療法人の出資持分と相続税が発生したら、相続税がいくらになるのか?、納税資金の準備は出来ているかの確認
・持分なしの医療人に移行することを決定した場合は、どの医療法人にするかの決定
・持分なし医療法人は複数(社会医療法人、特定医療法人、一般の持分なし医療法人、認定医療法人等)
個人事業を継続する場合
個人事業者の事業用資産にかかる相続税/贈与税の納税猶予制度が適用になります。
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